【エロゲ感想】あの晴れわたる空より高く

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神ゲーだったので感想書きます。後半はがっつりネタバレもあります。

一応、クリックしないと見えないようにしていますが、未プレイの人目次を見て自己判断してください。

共通√シナリオ(~体験版の範囲)

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主人公「乙矢(おとや)」の住む天ノ島は、ロケット開発がさかんな離島だった。

しかしその一方で、ロケット製作に反対する人もいた。ロケットの打ち上げにより漁が制限される、地元の漁業組合だ。

乙矢は、漁業組合に所属する父親の影響で、漁師を目指していた。

釣り部を立ち上げるほど熱中するが、母親の死を境に、釣りは趣味になっていた。

そんな時、同級生の有佐(ありさ)が小型ロケットを打ち上げる様子を目の当たりにし、感動を覚える。

新学期、乙矢は有佐と同じロケット部「ビャッコ」に入部を希望した。

乙矢の通う学園は、乙矢のような地元育ちの学生に加えて、ロケット製作を目指して入学していた生徒が多かった。さらに、ロケットを製作するための部活動も多数あった。

しかしビャッコは乙矢を除けば部員は「有佐」と「那津奈(なづな)」の2人、すなわち廃部の危機に瀕していた。

「ARC」という学園最大級のロケット部の部長、高乃酉(こうのとり)らの、部室拡大の動きにより、ビャッコは新入生を含めて5人集まらなければ廃部になることが決まった。

さらに学園の理事長との交渉により、廃部を免れる条件としてもう1つ、実力を示すこと、すなわち、2学期までにロケットの公式大会で優勝することが追加された。

乙矢の説得により、本来敵とも言えるARCの副部長「黎明(れいめい)」が加わることで、新入部員の「ほのか」と合わせて5人となり、ひとまず廃部の危機は脱した。

次の課題は、公式大会での優勝すること。

たった5人の学生の

ロケットを全く知らない「乙矢」
死んでもロケットを打ち上げると意気込む「有佐」
元ARCで確かな実力を誇る「黎明」
ロケットが大好きな「那津奈」
実家が部品の製造工場で腕は確かな「ほのか」

部の存続を賭けた青春群像劇が幕を開けた。

こんな人におすすめ

  • 何かに本気で取り組んでいる人、特に部活に本気で取り組んだ人:かなり感情移入できて熱くなれます。
  • 青春の部活動の雰囲気が好きな人:青春です。
  • 範乃秋晴先生のちょっと下品な言い回しが楽しく感じる人:いつも通り楽しめます。
  • 求めるものが「シナリオ>エロ」の人:シナリオゲーです。Hシーンよりも物語の展開が気になってしかたありません。
  • ~補足~
  • ロケット製作がテーマで、少し専門的な内容も含まれますが、作品中での説明がわかりやすく、無知でも問題ありません。
  • チュアブルソフトの過去作・次回作と少しだけ関連があります。

↓ ここからはネタバレになるので注意です ↓

未プレイの人は、ここまで見てくれてありがとうございました。

気になる人は買ってみてください。

中古でもあまり値崩れしていなかったので、とりあえずAmazonの相場を見てみてください(Amazonアソシエイトのリンクです)。

共通√シナリオ(体験版~個別√)

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ビャッコが優勝を目指した大会は、5月に開催される「マックスファイブ」だった。

「マックスファイブ」では全長5mという縛り(ロケットは大きい方が飛距離が稼げる)の中でロケットを製作し、打ち上げ、その到達高度で順位を競う。

ロケットの製作は部品ごとに別々に行う。

具体的には、「固体推進剤」と「モータケース」とがあり、各ヒロインで分担して設計する。

ここでどの部分を作るか、つまり誰を手伝うかで、どのヒロインの√に進むか分岐する。

  • 有佐:固体推進剤(のちにPM)を製作する。
  • 那津先輩:固体推進剤を製作する。
  • 黎明:モータケース(のちに電装)を製作する。
  • ほのか:モータケースを製作する。

それぞれの製作は一筋縄にはいかないものの、前日の徹夜作業を経て、ロケットを完成した。

迎えたマックスファイブ、ビャッコはロケットの打ち上げに成功した。

さらに、他校が30kmに限界を感じつつある状況で、ビャッコは到達高度43kmの大会新記録で首位に立った。

「いける」

しかしその期待は、最後に打ち上げたARCのロケットの発射音にかき消された。

発射音から違った。ARCは、より性能の高いハイブリッドエンジンの製作に成功していた。

ビャッコの記録まであっという間に到達し、

そして響き渡る「二段エンジンスタート」のアナウンス。

さらなる上昇を見せ、到達高度は87km。

すべてを嘲笑うかのような圧倒的な差を前に、ビャッコは大敗した。

マックスファイブでの準優勝は、別の大会で優勝しなければならないことを意味した。

しかしビャッコが次に出場できる大会は、多数の強豪校が出場する、夏の全国大会「フォーセクションズ」しか残されていなかった。

※フォーセクションズ以降のシナリオは、各ヒロインで分けて書きます。

那津エンド

シナリオ

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フォーセクションズに向けて、主人公は「推進」を手伝うことにした。

推進部門では、ロケットのエンジンを開発し、その燃焼時間で性能を評価し順位をつける。

ロケットのエンジンを製作し、燃焼試験を行う旅に原因のわからない問題が幾度となく発生するが、推測と改善を繰り返し開発を進めていく。

ある日、顧問の先生により、那津がAXIPの特待生を辞退していることがわかった。

AXIPは若い技術者を育成する行政法人で、その特待生を受けることは、那津の将来の夢である火星ロケットの製作に大きく近づくことになる。

しかしAXIPの特待生となるには研修を受けるため、本土に行く必要がある。

その時期が今のロケット開発と重なってしまい、那津はロケット開発を優先していたのだった。

有佐はそれを許さなかった、那津に研修を受けるように取り決めた。

エンジンの開発が原因不明に課題に直面しており、乙矢に加えて残りのメンバーも、那津が抜けた穴を埋めようと手伝ってくれた。

ちょうど原因究明の糸口もつかめたところで、那津は天ノ島に帰ってきた。

残り少ない製作期間で、本番に持ち込むエンジンを開発できた。

出場資格の50秒の燃焼試験は突破したものの、優勝するかどうかの長時間の燃焼はぶっつけ本番である。

そして迎えたフォーセクションズ当日、各製作チームのエンジンが横一列に並び、燃焼試験が始まった。

数々のエンジンが爆音と共に燃焼終了する中、400秒の燃焼試験に耐えきったのはビャッコとARCのエンジンの2つだけだった。

水素と酸素を充填し、すぐさま2度目の燃焼試験が始まった。

2度目、3度目を突破し、4回目の燃焼試験の途中、突如、ロケットエンジンの悲鳴とも思える爆音が響き渡った。

爆炎の中、モニターに映し出されたのは、ビャッコのロケットエンジンだけだった。

しかしまだ終わらない。4度目が終わり、5度目の燃焼試験が始まった。

その燃焼の様子を、ビャッコだけでなくすべての参加者が見守った。

「燃焼終了しました」

累計燃焼時間2000秒での優勝、それはプロが製作したとみなされる燃焼時間だった。

感想

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ツイートに書いてある感想は、那津奈√の感想というよりも、はれたか1人目のヒロインとしての、ゲーム性の部分の評価が占めている部分が大きいです。ですが、那津√でエンジンが燃焼するシーンはかなりの迫力があり、2度、3度と繰り返される燃焼試験では、「チャイルドちゃん(エンジンの名前)、耐えきったくれ!!!」という臨場感がものすごかったです。

那津の√に関して、ロケットを生き物に見立てたような那津の感情移入は、最初こそ抵抗がありましたが、自分たちが手掛けたロケットへの思い入れが伝わってきて、最終的にはいい味を出していたんじゃないかと思いました。このゲーム全体として、ぼくはヒロインよりもロケット開発の方に意識が行ってしまいましたが、那津√は友情や嫉妬の描写など多く、いちばん恋愛をしていたような気がします。

特に好きだったのは、えっちについて無知なために、主人公が「青姦なんてみんなやっている」というのに騙されてやってしまうシーンでした。天然や純真無垢なヒロインに教えてあげるの、好きです。

ほのかちゃんエンド

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フォーセクションズに向け、「機体」を手伝うことにした。

機体部門は、風圧試験でどれだけ強い風に小型ロケットの機体が耐えられるかで、その性能を評価し順位をつける。

機体の製作は大会当日その場で製作するルールになっているが、その準備と練習のため、ほのかの父の製造所を借りた。

しかし、親会社が倒産してしまい、ほのかの家は連鎖的に倒産の危機に立った。

ほのかの父は従業員を他の製造所に送り出し、ほとんどひとりで多くの仕事をこなそうとするが、脳卒中で倒れてしまう。

そこで、ほのかの父に代わり、乙矢とほのかが受注している部品を完成させようとする。

乙矢の腕力とほのかの精密な加工技術を合わせて、注文の小型アンテナ100個の製造には成功した。

しかしもう1つの注文の中型のアンテナの製造が難航し、完成させた時には、フォーセクションズは前日に迫っていた。

当初予定していたCFRPという素材の代わりに、チタンを原料にすることで、なんとか大会に出場できた。

しかしチタンを原料にする場合、本来は機械で行うような精密な作業を人力で行う必要があった。

父の代わりに精密なアンテナ製造を行った経験を活かし、順調に機体を製作した。

作業の途中、乙矢は他の製作チームがプレス機に腕を挟まれそうになっているのに気づき、使っているヘラをつっかえ棒にして救助する。

代替のヘラは持ってきていなかった。

諦めきれない2人は、壊れたヘラに短いヘラを加工して復元する。

残り時間がわずかな中、他の製作チームも目を見張る精度で機体を完成させる。

そして、暫定1位のARCを上回る風圧試験の記録を打ち立て、部門優勝した。

2人がたどり着いた設計図は、CFD(コンピュータ)で設計した最適な設計図と、ほとんど一致していた。

感想

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主人公と仲のいい後輩ヒロインでしたが、下ネタOKおちゃらけなやりとりが本当に好きでした(※ぼくは下ネタが言い合える幼馴染が大好き)。

特に、告白のシーン以降の「セフレになれ」と勘違いして進むシナリオはひたすら笑ってました。√全体を通して、アンジャッシュ的な展開(解釈がズレたやりとり)が多く、いちばん笑ったヒロインだったと思います。

また、ほのかちゃんのお父さんも好きでした。今となっては時代にそぐわないかもしれない仕事熱心な人で、倒れてまで仕事を完遂させようとする責任感の強いキャラでした。そこまでやるのは正しいとは言いませんが、物事に全力を注ぐ姿は美しく、その意志を受け継いでコンピュータの性能に勝ろうとするフォーセクションズでの主人公とほのかちゃん活躍は、心動かされました。

黎明エンド

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フォーセクションズに向け、「電装」を手伝うことにした。

機体部門は、10km先の定点にどれだけ正確に小型ロケットを着陸させられるかで、誘導制御装置の性能を評価し順位をつける。

ロケットが目的地に正確にたどりつくには、目的地までの距離と向きを知る必要がある。

距離を把握するのが加速度計で、向きを把握するのがジャイロである。それらを制御装置で計算し、その演算結果を元にノズル(翼)がどれだけ動くかなどが決定し、目的地に到達するわけだ。

設計するパーツのうち、特に差が出るのはジャイロであるため、その回転するコマのようなパーツの摩擦が小さくなるように精度を99.99%まで高めることを目指した。

黎明は幼いころに目をケガしていた。

その後遺症で視力が悪く、たまに何も見えなくなることがあった。

99.99%を目指す細かい作業による負担は大きく、目が見えない頻度があがってしまった。

このままでは失明してしまうと思った黎明は、大会が終わるまで部活を休むことに決めた。

理由として、メンバーにはロケットを見るためと言ったが、本当は手術を受けるのが怖かった。

手術を受ければ成功するかもしれないが、そのタイミングで失明する可能性も高い。

流れ星を見に行った時に、「手術が成功しますように」と言えれば受けることを決めていたが、

黎明の目には、もう星すら映らなかった。

ダメだったら変わりに目になる、という乙矢の励ましにより、一日のうち目の見える時間だけ部活を再開する。

そして目が見えなくても、研磨音でタイミングを見極め、指先の感覚で表面粗さを判断する術を身に着け、反射率の目標値99.997%を達成した。

迎えたフォーセクションズ本番、予期せぬ横風が発生していた。

波の様子から風が読める乙矢の咄嗟の判断と、それを正確に反映する黎明の開発した誘導制御装置により、定点からわずか20mの精度で優勝した。

その後、黎明は目の手術を受け、無事成功した。

感想

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ここまで他の2人の√でかなり興奮し、感情的に盛り上がったのですが、キャラの冷静な性格がそのまま単調な√になっているように感じました。もちろんシナリオとしては他の√に劣らずおもしろかったのですが、比較すると個人的には盛り上がりに欠けて感じました。

とは言え、冷静で理性的な黎明が感情的になるシーンがないわけではないので、インパクトはありました。それがちょっと弱かったかな、という感想です。

個人的な話になりますが、あじ秋刀魚さんのえっちしーんのボイスがめっちゃ好きなので、そこはよかったです。

有佐エンド

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フォーセクションズに向け、「PM(プロジェクトマネージャー)」を手伝うことにした。

PM部門は、代表者の演説で決まるが、大会でのそれまでの成果を評してPMという裏方役を表舞台で表彰する、いわば最終日の余興のような順位づけで優勝が決まる。

つまり、「推進」「機体」「電装」の各部門で上位の成績を出す必要があった。

これは難易度が高いにも関わらず、有佐はフォーセクションズと並行して宇宙ロケットを製作する計画を提案する。

しかし、急遽AXIPのロケット打ち上げ計画により、ビャッコは宇宙ロケットの打ち上げができなくなってしまう。

時期をずらす場合、ロケットの打ち上げがそれは漁業組合との約束によって禁止されている期間にあたる3月しかなかった。

漁業組合の許可をもらうため、乙矢の父を説得することにした。

しかし説得より先にロケット部で活動していることがバレ、乙矢は父と大喧嘩をしてしまう。

父がロケットを嫌う理由には妻、乙矢の母の死が関係していた。

当時、母が癌とわかった時に島の医者も本土の医者も治らないと言ったが、アメリカの病院でなら可能だった。

しかし治療と渡米には莫大なお金が必要だったため、父は必死で漁に出た。

そこにAXIPがやってきて、ロケットの打ち上げを理由に、漁に出られる頻度を制限してしまった。

父はより多くの収入が得られる遠洋漁業に出た。しかしそれは母親の死に目に会えない可能性も含んでいた。

どうしても諦められなかった、母が治療で治る可能性に。

そうして、母は死んでしまった。

ロケットが直接殺したわけではない、でも打ちあがるたびに、憎まずにはいられなくなっていた。

しかし今、必死でがんばる息子を応援するため、漁業組合のメンバーに頭を下げてくれることになった。

迎えたフォーセクションズ、機体部門こそ2位だったものの、電装は3位、推進は9位。

ここまでの成績を総合的に評価すると、PM部門での優勝は絶望的だった。

有佐の演説はビャッコの存続を訴えるものだった。

それでも各部門で優勝しているARCがPM部門でも優勝するのは目に見えていた。

しかし、いちばん最後に呼ばれたのはビャッコだった。

そして宇宙ロケットの開発が始まった。

感想

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がんばった評価としてお情けのようなPM部門優勝かと予想していましたが、

  • 宇宙開発反対派の支持を得た
  • 打ち上げが禁止期間に漁業組合から許可を得て打ち上げを実施した

この確固たる実績を持って優勝になったのは「なるほどなぁ」と、うなりました。

4人目に選んだため、次に控えていそうなグランドエンドを見るために先を急ぎ、
えっちしーんをすべてスキップしていたのですが、
ここに来て、まさかの”おしっこ”があったので、ぼくも優勝できました。

主人公の母の死についても明らかになり、涙してしまいました。

グランドエンド

 

シナリオ

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すべての手伝いを選び、フォーセクションズの全部門を優勝した、というビャッコ超優秀√。

エンジンはチャイルドⅦ、機体はCFRPで二段式ロケット、誘導制御はRLG、を採用し、大型ロケットの製作を目指す。

倉庫からビャッコの先輩が残したと思われる「人工衛星ながれぼし」が見つかり、これをロケットに載せることにした。

ながれぼしは宇宙空間でロケットから分離後、地球にメッセージを送信し、イリジウムフレアを発しながら落下する設計になっていた。

すなわち、特定の時刻に人工的な流れ星を作り、そこに願い事のメッセージを送ることが目的だった。

願い事はそれぞれ、工場が儲かってみんなが戻ってくること、火星を往復するロケットエンジンを開発すること、手術が成功すること、死んでもロケットを打ち上げること、宇宙人に会うこと、と入力した。

ロケット打ち上げ当日。

最後のGO/NOGO判断がGO、カウントダウンシーケンスがゼロになったその時、

「緊急停止!!」

外に人影が見えた。有佐は制御室を飛び出した。

人影に駆け寄ると、それは少女の絆ちゃんだった。

緊急停止したとは言え、ロケットのエンジンは点火しており、すぐには止まらない。

ロケットが飛び出さないように固定している4本の柱のうち、3本は粉砕しあと1本になった。

直後、轟音が響き渡った。

乙矢たちが駆け付けた時には、泣き崩れる絆ちゃんと、それをかばうように倒れた有佐の姿があった。

有佐は息をしていなかった。

乙矢らの心臓マッサージと即座の救急車により、有佐は一命をとりとめた。しかし、意識は失ったままだった。

病院に入院するも、4日間も目を覚まさないまま、植物状態と診断された。

目を覚ますきっかけとして、有佐のためにビャッコⅢを打ち上げて見せようと計画する。

しかし、AXIPの判断でビャッコの活動は無期限停止となった。

理由はシンプルに、事故を起こしてしまったためだが、当日のビャッコの対応には落ち度はなかった。

ビャッコに原因が押し付けられている本当の理由は、AXIP全体の存続だった。今回の事故がAXIPに原因があるとわかれば、AXIP関連のすべての部活を停止せざるを得ない、しかしビャッコという1つの部活に原因があればそこを停止させるだけで済む、というわけだ。

乙矢は考えた、ビャッコが活動停止になっても、びゃっこⅢロケットを打ち上げられる方法を。

そこにメールが届く、植物状態の有佐から。

打ち上げに失敗して死んだ時に送られるよう、有佐が設定した自動送信メールだった。

そこには、状況別に複数の打ち上げプランがこと細かに書いてあった。そして最後に「死んでもロケットを打ち上げるわ!」と、信念の一言を添えて。

純学生産のロケット製作プラン、それが残された道だった。

現在のビャッコのロケットは、その70%がSP産である。

その67%をARC、3%を宇宙研が負担し、さらに、打ち上げ施設として、高乃酉重工の100%子会社として3日前に設立した「株式会社ビャッコ」が使用許可を得ることで、AXIPの力を借りることなくロケットを打ち上げられることになった。

ビャッコ、ARC、宇宙研らの学生だけで力を合わせ、ロケットを組み立てた。

発射当日、制御室に有佐を運びこみ、ながれぼしを載せたロケットが打ち上げられた。

ロケットは真っ暗な夜空を突き進み、宇宙空間でながれぼしを分離した。

衛星の軌道に乗った時、制御室にメッセージが届いた。

みんなの願いは「有佐が意識が戻ること」に上書きされており、その想いに応えるように有佐が目を覚ます。

制御室を駆け出し、煌々と輝く5つの流れ星を見上げた。

全体の感想

  • ◎:とてもよい
  • 〇:よい
  • △:好き嫌い分かれそう、よくわからない
  • ×:よくない

先に記号の意味を説明しておきます。

[◎] 範乃秋晴先生が手掛ける完成度の高いシナリオ

最初の課題提起は「廃部の危機」というありふれたテーマなのに、
数々の問題が生じることで、プレイヤーにまったく飽きさせません。
常に「うわ、次はどうなるんやろ」と物語に釘付けにさせ、
いける!、と思っても安心させない急展開。
食事すら忘れて、夢中で読み進めました。

個人的に好きだったのは、脱線がシナリオに結び付くシーンでした。
ロケット製作では数々の困難に直面するのですが、
作中のしょうもないない(笑)と思ったイベントや、CGがらみのイベント、さらにはえっちしーんまでもが、
実は、課題を突破するひらめきのきっかけになっていたりします。
本当によくできていました。

無駄のない細かい脱線、行きつく暇を与えないイベントの数々、そして集結する感動のフィナーレ。
全体のストーリーだけでなく、細かいところを見ても、
やっぱ範乃秋晴先生ってすげぇわと、ライターさんをますます好きになる、素晴らしい作品でした。

[◎] 心を揺さぶられるセリフ

教訓になるようなセリフ・価値観がたくさんありました。

特に、仕事に向き合う姿勢と実験に対するモチベーションが刺激されました。
その1つを貼ってみます。

「みんな、明日のロケット打ち上げを止める覚悟は、ちゃんと持ってる?」

ロケットを打ち上げる、まさに前日、
テンションがあがるメンバーに向かって問う、有佐のセリフです。

実験をする上で本当に大事なことなのに、今の自分にこのセリフが出せるとは思えませんでした。有佐の強さを感じました。

[◎] ロケット製作という伝わりにくい題材なのに、わかりやすい

最初は所詮エロゲのロケット製作と思ってナメていたのですが、実際にやってみると専門用語がバリバリ出てきました。

「こんなの理系でも意味わかんないだろ」と思っていたら、

図解やワードの解説など、事細かに説明してくれて、ヒロインたちが読者の手を優しく引いてくれるようでした。

視覚的な説明により、問題のある場所・原因・その理由を理解しやすく、エロゲの製作者側の作り込みを感じました。

[◎] その場にいるかのような臨場感と緊張感

「いけぇええええ」とか「うぉおおおお」とか、リアルで叫んでしまうくらいの臨場感と、

作ったロケットが本当に飛ぶのかという現場の緊張感に、

圧倒されました。

[〇] 部活をがんばった自分と重なる部分

この部活の中に、ロケット製作のメンバーの中に、自分がいるかのような距離感、
高校生に戻ったような「なんでもできる!」と思える自信と高まり、

熱かったです。

「やる気がないなら一人でもやる」と喧嘩になるシーンがありましたが、高校生の時の自分と重なって懐かしくなりました。

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自分語りになります。高校1年生の時に一時期グラウンドが工事され、校庭での部活ができないことがありました。ぼくは陸上部だったのですが、グラウンドが使えなくても、街中でランニングコースを設定したり、他校と一緒に部活をしたり、いくらでも練習の仕方はあると思いました。しかし実際は、筋トレがメインとなる室内での練習が続き、さらに筋トレとは名ばかりのダベってばかりの活動でした。ダベるのも青春の1ページという見方もできますが、陸上に本気だったぼくは、しばらく部活を無断欠席します。部活のメンバーにはグレたと思われ放置されていたようですが、実際は他校の先輩に連絡を取り、勝手に練習に混ぜてもらっていました。確かに先輩らの信頼は一時的に失いましたが、大会で結果は残せました、そんなことがあったんですよ。

有佐の、物事を達成するために犠牲をいとわない姿勢と命懸けの執念は、昔のがむしゃらな自分を彷彿させ、今の自分の原動力になりました。(言ってることが被ってきたな…)

[◎] 魅力的なサブヒロイン

ウザメガネ

常に敵役のような立ち位置にいて、論理をおしつけてくるウザいキャラなのですが、各√のクライマックスでは何度も良い役を演じてました。

ほのかちゃん√で過去の出来事について描写がありましたが、ますます好きになってしまいました。

ゆいちゃん(CV.藤森ゆき奈)

有佐√での、父親とのやりとりが本当によかったです。

[×] えっちしーんがどうでも良くなる

シコる用に準備していたティッシュが、涙と鼻水で責務を全うしていました。

[×] 各ヒロインのラストが読める

ヒロイン4人で展開がおおむね同じです。なのでうまくいくんだろうなーと察してしまいます。
とは言え、作品のテンポの良さと臨場感で作風を損なう程ではありません。

そして、グランドエンドの展開はまったく予想できず、衝撃的でした。

まとめ

どこかのエロゲランキングで見かけてから、ずっと気になっていたのでやってみましたが、

萌えゲーアワード2014 シナリオ章 金賞の名に恥じない神ゲーでした。

シナリオゲーが好きな方には、おすすめです。

最後に

今回はシナリオの要約もつけてみたのですが、見る人からしたらどうだったんでしょうか…。

もともとの目的は、忘れた頃にこの神ゲーを思い出すため、という自分のためだったのですが、
10000字も書いてみた感想としては、シナリオの要約を書いていて、かなり疲れました。。。
感想だけならスラスラ書けるんですけどね。

しかも感想を書こうと思うと既プレイの人が対象になるけど、ブログを見に来るのはだいたい未プレイの人、、、
相反する読者に向けて、記事を書くのは難しかったです。すみません。

青春ロケットADV『あの晴れわたる空より高く』

長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございました!

この記事が、他の人が見てくれて共有出来たり、購入の参考になったりすると嬉しいです!

「みんとのアトリエ」をよろしくお願いします!

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